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行政書士が実務目線で解説|2025年からの変更点と最新制度の要点(デジタル化・AI導入補助金)

行政書士が実務目線で解説|2025年からの変更点と最新制度の要点(デジタル化・AI導入補助金)
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行政書士が実務目線で解説|2025年からの変更点と最新制度の要点

名称変更、再申請要件、AIツールの見える化、賃上げ・最低賃金近傍、SECURITY ACTIONなど、2026年の重要論点を実務に即して整理します。

この記事でわかること

  • 2025年からの名称変更・制度変更の主なポイントと、申請実務への影響
  • 2回目以降の申請において求められる追加要件と、事前に整えておくべき事項
  • AIツールの申告ベース登録と、賃上げ・最低賃金要件が補助率に与える影響
  • 2026年の申請で見落としを防ぐための、行政書士実務ベースのチェックポイント

本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものです。制度の要件や運用は今後変更される可能性がありますので、申請にあたっては必ず最新の公表資料、交付規程、公募要領等をご確認ください。

1. まず結論|2025年から何が変わったのか

1-1. 2026年の変更点は大きく5つに整理できます

2025年からの相違点を、申請実務の観点から整理すると、主に次の5点に集約されます。

  1. 制度名称の変更と、制度趣旨の打ち出し方の変化
  2. 過去に交付決定を受けた事業者に対する追加申請要件の明確化
  3. AI機能を有するツールの見える化(検索・表示面での明確化)
  4. 賃上げおよび最低賃金近傍事業者に関する整理の見直し(補助率に直結)
  5. セキュリティ要件(SECURITY ACTION)に関する運用上の留意点の増加
変更点2026年の内容実務上のポイント
① 名称変更IT導入補助金→デジタル化・AI導入補助金「導入」だけでなく「定着・成果」まで申請書で示す必要がある
② 再申請要件2022〜2025年に採択済みの事業者に3年計画・賃上げ・効果報告が追加申請前から計画・記録の仕組みを設計しておく
③ AIツール見える化AIツール検索での絞り込みが可能になる(支援事業者の申告ベース)支援事業者のツール登録状況を早期に確認する
④ 賃上げ・最低賃金近傍補助率が1/2→2/3に引上げられる条件が整理される賃金台帳と従業員区分を事前に整理しておく
⑤ SECURITY ACTION2026年4月から新方式へ移行。2次公募以降はGビズIDが必須1次公募から新方式を前提に準備する

1-2. 本質的な変更は「審査の視点」がより明確になった点です

2025年までと比較すると、従来は対象ツールの要件を満たし、申請書との整合性が取れていれば比較的進めやすい場面もありました。他方、2026年は「デジタル化」や「AI活用」という制度名称に沿って、導入内容そのものに加え、導入後にどのような成果を見込み、どのように運用を定着させるかといった事業者側の実行体制が、より重視される方向にあります。

そのため、単に必要書類を揃えるだけでなく、「どの業務に、どのように活用し、どのような成果につなげるのか」まで含めて準備しておくことが、従来以上に重要になっています。

2026年版 デジタル化・AI導入補助金(IT導入補助金)5つの変更点|名称変更・再申請要件・AIツール見える化・賃上げ・SECURITY ACTIONを一覧で解説

2. 変更点1|名称変更の趣旨を正しく理解する

2-1. 名称変更は単なるリブランディングではありません

2026年は、制度名称が「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へ変更されています。これは、単にITツールを導入するという行為自体ではなく、業務のデジタル化を進め、その延長線上でAIも含めた生産性向上を図ることを、より明確に打ち出す趣旨によるものと考えられます。

したがって、申請書においても「ソフトを導入する」という説明だけでは弱くなりやすく、どの業務がどう変わるのか、現場でどのように定着させるのかまで示すことが、より重要になります。

2-2. システム上では旧名称が残る場面もあります

申請マイページや事務局からの案内メール等、一部の場面では旧名称が継続して使用されることがあります。実務上は、こうした表示の差異に惑わされることなく、新名称の制度として読み替えて対応する姿勢が求められます。

3. 変更点2|2回目以降の申請における追加要件と再申請時の備え

3-1. 追加要件の対象となる事業者

IT導入補助金2022年版から2025年版までの間に交付決定を受けた事業者については、2026年の交付申請において追加の申請要件が設けられています。

すなわち、過去に採択実績がある事業者ほど、次回申請においては、より厳格な視点で確認される可能性があるという理解が実務上は妥当です。

3-2. 追加要件の主な内容

追加要件は、大きく次の3点に整理できます。

  1. 交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定し、実行すること
  2. 賃上げに関する要件(指標)を満たすこと
  3. 事業実施効果の報告を行うこと

これらは単なる参考事項ではなく、申請要件として追加されている点に注意が必要です。

3-3. 賃上げ要件は数値基準を伴います

要件の一つとして、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を、日本銀行が定める物価安定目標に1.5パーセントを加えた水準以上に向上させることが示されています。

また、交付申請時点において、賃金引上げ計画を従業員に対して表明していることも要件とされています。

実務上の重要な分岐点はここです。申請時に将来の賃上げ意向を口頭で述べるだけでは足りず、計画として整備し、従業員への表明まで行っているかが問われます。

3-4. 未達成や効果報告未提出には返還リスクがあります

要件未達成または効果報告未提出の場合には、補助金の全部または一部の返還となる可能性がある旨が注意喚起されています。

つまり、採択を受けて終わりではなく、採択後の実行や報告まで含めて制度上の義務がより重くなっているということです。再申請を行う事業者ほど、導入後の運用や記録体制まで含めて、交付申請前に設計しておく必要があります。

3-5. 行政書士実務の観点から、再申請時に先行して整えるべき事項

再申請の場合、次の事項を先に整理しておくと、申請書全体の説得力が高まりやすくなります。

  • 3年間の業務改善ロードマップ(導入初年度、定着期、拡張期の流れ)
  • 賃上げ計画に関する社内手続き(いつ、誰が、何を、どの範囲で表明するか)
  • 効果報告に向けて収集すべきデータ(導入前後の作業時間、ミス件数、売上機会等)

これらを後回しにすると、申請時点では形になっていても、採択後の運用段階で行き詰まり、結果として返還リスクに近づくおそれがあります。

4. 変更点3|AIツールの見える化と申告ベース運用の留意点

4-1. ITツール検索でAI機能を有するツールの絞り込みが可能に

2026年は、ITツール検索において、AI機能を有するツールの絞り込みが可能となり、AIツールであることが明示される取扱いとなっています。

これは、申請者にとってAI機能を活用するツールを選定しやすくなる方向の変更といえます。

4-2. AI表示は支援事業者側の申請内容に依存します

もっとも、AI機能の表示は、IT導入支援事業者が当該ツールについて「AI機能を有する」として申請している場合に限られる旨が示されています。

実務上は、同一名称のツールであっても、登録内容や説明の整理状況によってはAIツールとして扱われない可能性があります。そのため、支援事業者との間で早い段階から登録状況を確認しておくことが重要です。

4-3. 申請書で重要なのは「AIを使うこと」ではなく「AIで何が改善されるか」

単に「AI」という文言を入れるだけで評価が高まるわけではありません。申請書では、次のような形で具体化しておくと、趣旨との整合性を示しやすくなります。

  • AIを活用する業務プロセスを特定する(例:問い合わせ対応、需要予測、見積作成、検品、日報集計等)
  • 導入前のボトルネックを明確化する(作業時間、手戻り、属人化、入力ミス等)
  • 導入後に確認すべき指標を設定する(処理時間、回答時間、誤入力率、対応件数、機会損失等)

AIの価値は、単なる作業代替にとどまらず、判断補助や業務の標準化にもあります。実際に現場で誰がどのように利用するのかまで記載できると、制度趣旨との適合性がより伝わりやすくなります。

5. 変更点4|賃上げ・最低賃金近傍と補助率への影響

5-1. 通常枠の補助率は原則2分の1、一定条件で引上げ

2026年の通常枠では、補助率は原則として2分の1以内とされる一方、一定の条件を満たす最低賃金近傍の事業者については3分の2以内と整理されています。

この差は自己負担額に直結するため、導入予定額が大きい案件ほど無視できない論点です。

5-2. 最低賃金近傍の判定は具体的条件に基づきます

最低賃金近傍の事業者の例として、一定期間において、地域別最低賃金未満で雇用していた従業員数が全従業員の30パーセント以上であることを示した事業者、という形で条件が示されています。

実務上は、賃金台帳や従業員区分の整理が必要となります。この整理が不十分なままでは、補助率の適用判断に迷いが生じ、申請書の記載にもぶれが生じやすくなります。

申請者区分通常枠 補助率主な判定条件
一般事業者1/2以内
最低賃金近傍事業者2/3以内地域別最低賃金未満で雇用の従業員が全従業員の30%以上

※補助率は申請枠・公募要領により変動します。最新の公募要領で必ずご確認ください。

5-3. 最低賃金改定に伴う制度見直しの流れがあります

最低賃金の改定に伴い、第7次公募回から制度変更が行われる旨が公表されており、通常枠における補助率引上げ対象の変更や、加点項目の追加が示されています。

2026年の賃上げ論点も、こうした制度改正の延長線上に位置づけられます。賃金関連の要件は、今後も引き続き重視される可能性が高い前提で準備しておく方が安全です。

6. 変更点5|SECURITY ACTIONに関する実務上の注意点

6-1. 2026年4月から申込方法が変更される予定です

SECURITY ACTIONについては、2026年4月から申込方法が変更される旨が示されており、新システムの利用にはGビズIDプライムまたはメンバーのアカウントが必要とされています。

これまでの自己宣言IDを保有している場合であっても、切替時期をまたぐと手続の扱いが変わる可能性があるため、申請スケジュールとの関係で早めの確認が必要です。

6-2. 第2次公募以降は現行の自己宣言IDでは申請できない旨の注意があります

注意事項として、第2次公募(2026年5月頃開始予定)以降は、現在の自己宣言IDでは申請できなくなり、補助金申請で使用するGビズIDを用いて新システムで自己宣言の申込みを行う必要があるとされています。

また、第1次公募については従来方式・新方式の双方で申請可能とされつつも、不備訂正の対応が第2次公募期間にまたがる場合には、新システムによる申込みが必要となることがあるなど、運用面で注意を要する点も示されています。実務上、この部分は手続事故が生じやすい論点です。締切直前の不備訂正は珍しくないため、可能であれば当初から新方式を前提に準備しておく方が安全です。

7. 変更点を申請書に落とし込むための2026年版実務ポイント

7-1. キーワードは「導入」よりも「定着」

2026年の制度運用では、「導入したら終わり」ではなく、「継続的に活用し、成果につなげること」が重視されていると考えられます。申請書では、次の3点が揃うと全体の説得力が高まりやすくなります。

  • 現状の課題が、数値や具体例を用いて示されていること
  • 導入後の運用体制が整理されていること(責任者、担当者、教育、マニュアル等)
  • 成果の測定方法が明確であること(何を、いつ、どのように確認するか)

7-2. AI活用は対象範囲を絞るほど伝わりやすい

AI活用の説明は、範囲を広げすぎると抽象的になりやすい傾向があります。実務上は、最初に対象業務を1つまたは2つに絞り、効果指標も限定して示す方が、かえって説得力が出やすくなります。

  • 問い合わせ対応における一次回答時間を短縮する
  • 見積作成工数を削減し、属人化を緩和する
  • 仕訳や請求データ入力時のミスを削減する

このように、AIが効果を発揮する業務ポイントを絞って記載すると、審査側にも導入意義が伝わりやすくなります。

7-3. 再申請者は導入後の効果報告を前提に設計する必要があります

再申請者については、3年間の事業計画や効果報告が要件となる可能性がある以上、導入後の記録を残す仕組みまで含めて準備しておく必要があります。

  • 導入前の基準値を測定する
  • 導入直後は定着状況を確認する
  • 一定期間経過後に成果を測定する

この時系列を申請前から設計し、社内で無理なく回せる形にしておくことが、実質的には合否や採択後の運用を左右します。

7-4. 賃上げとセキュリティは申請直前に処理しない

賃上げ計画の表明には社内での調整が伴いますし、SECURITY ACTIONには手続変更の影響があります。いずれも申請直前に詰め込むと間に合わないおそれがあるため、制度変更のある年度ほど、先行して着手しておくことが重要です。

8. 行政書士がすすめる|2026年版チェックリスト

8-1. 申請前の準備事項

  • GビズIDの準備(取得済みか、運用可能な担当者がいるか)
  • SECURITY ACTIONの自己宣言(切替時期をまたぐ場合の手順確認を含む)
  • 申請枠の仮決定(通常枠、インボイス枠等)
  • 支援事業者との役割分担の整理(誰が何をいつまでに対応するか)
  • 導入対象とする業務プロセスの特定(1つまたは2つに絞る)

8-2. 申請書の骨子として整理したい事項

  • 現状課題|現場で生じている問題を具体化する
  • 打ち手|導入ツールと運用ルールを整理する
  • 成果指標|時間、ミス、処理件数、売上機会等を設定する
  • 体制|責任者、担当者、教育計画を明確にする
  • 定着策|マニュアル、サポート、活用支援の計画を示す

8-3. 再申請者が追加で整えたい事項

  • 3年間の事業計画の骨子
  • 賃上げ計画の表明方法とそのタイミング
  • 効果報告に必要なデータ収集方法
  • 未達時のリスクに関する理解と社内合意
2026年版チェックリスト|デジタル化・AI導入補助金(IT導入補助金)申請枠選定から申請準備までの10項目を行政書士が整理

9. よくある失敗例|2026年に特に増えやすい3つの論点

9-1. 再申請要件を見落とし、直前で大きな手戻りが生じる

過去に交付決定を受けているにもかかわらず、3年計画や賃上げ計画の整理を行わないまま進めてしまい、申請直前で全体が崩れるケースです。再申請者については、まず追加要件の確認から着手するのが安全です。

9-2. SECURITY ACTIONの方式切替により、締切直前にID手続が間に合わない

第2次公募以降の取扱い変更が示されている以上、申請回だけでなく、不備訂正の可能性まで見据えて準備しておく必要があります。

9-3. AIと記載しているものの、具体的な活用場面が示されていない

AIは目を引くキーワードですが、申請書の中で具体的な業務プロセスやKPIが示されていなければ、単なる流行語として受け取られかねません。AIツールの見える化が進むほど、審査側も中身を確認しやすくなるため、抽象的な記載は不利になりやすいといえます。

10. まとめ|2026年は準備の質が結果を左右する

10-1. 今回の変更点は、申請入口だけでなく採択後の運用にも関わります

2026年は、名称変更、再申請者への要件追加、AIツールの明確化、賃上げ・最低賃金近傍の整理、SECURITY ACTIONに関する運用上の注意点など、複数の変更が重なっています。

これらに共通するメッセージは、「導入して終わり」ではなく、「継続的に活用し、成果を示すこと」がより重視されているという点です。

10-2. 申請前に行うべきことは、実はそれほど複雑ではありません

  • どの業務を、どのように変えるのかを明確にする
  • 成果の測定方法と定着の仕組みを事前に設計する
  • 賃上げとセキュリティ対応は早めに着手する

これらを押さえることで、2026年の制度変更を不安要素ではなく、申請の説得力を高める材料として活用しやすくなります。どの補助金が自社に適しているか比較したい方は、こちらもあわせてご覧ください。また、DXの基本と補助金活用の考え方も参考になるかと思います。

参考法令・資料

  • 2026年 デジタル化・AI導入補助金事務局
  • 2026年 ITツール登録要領・マニュアル
  • 2026年 IT導入支援事業者登録要領・マニュアル
  • 2026年 ITツール登録申請にあたっての重点確認事項

なないろバックオフィスでは、デジタル化・AI導入補助金のベンダー登録・ITツール登録から補助金申請・実績報告まで、情報技術者資格を有する行政書士2名体制でサポートしています。 これまでに多数の登録支援を行っており、直近年度では40件以上のベンダー登録支援実績を有します。申請対応および実績報告にも対応した実績があり、採択率は9割を超えています。 お困りの際は、お問い合わせフォームLINEメールよりお気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

藤原 七海
行政書士藤原 七海

コンサルティングファームで約8年の勤務経験。
業務改善・DX推進の実務経験、豊富なベンダー登録・ツール登録の経験を活かし、丁寧に支援します。

行政書士PMP応用情報技術者SAP認定アプリケーションアソシエイト

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